宗教学講座(人文学プレ・ゼミ/2023年春期講座)
- テーマ
- 「日本人は(なぜ)無宗教なのか」
- 講師
- 鶴岡賀雄(つるおかよしお)。
1952年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。博士(文学)。東京大学名誉教授。清泉女子大学、立正大学、立教大学、上智大学、岡山大学、非常勤講師。専門:宗教学、西洋宗教思想。
- 日時
- 各日13:00~15:10
- 参加費
- 全4回 80,000円
講座概要
日本でも海外でも、宗教にまつわる問題が世間をにぎわせている。政治と宗教の関係もなかなか奥が深そうだ。科学技術がこれほど発展した時代に、人はなぜ宗教から離れられないのかーーこの疑問は多くの日本人が自然に持つ問いだろう。
しかし、そもそも「宗教」とは何だろうか。多くの日本人は、正面からこうした問いを問う機会がないままに生きている。そして「自分は無宗教だ」、とばくぜんと思っている人が大半である。 それでも、たいていの日本人は、お正月には初詣に行っておみくじを買うし、お墓参りも(ときどき)するし、ハロウィンやクリスマスは定番になっている。合格祈願の絵馬を買ったこともある(?)。パワースポットや占いはきらいじゃない。大都会にも田舎の村にも、ちょっと歩けばお寺や神社があって、お祭りをやっている。そういえば、幼稚園から高校まで(大学も)、ミッション系や仏教系がとても多い。そこではお祈りの時間があったりして、そこから宗教に興味をもつ人も少なくない。周りには◯◯教の信者の人もいる。神様や仏様、ご先祖さま、霊界とか死後の世界は、「ぜったいない」とも思えないーーこんなふうに生きている現代の平均的な日本人は、それでも「無宗教」なのか?
一方、外国に行けば、宗教を信じることが当たり前のところも多い。欧米でもアジアでもアフリカでも、宗教と社会は切り離せないのが実情だ。国際交流には、宗教についての知識と、自分なりの考えをもっておくことが必須である。日本でもイスラム教徒(「ムスリム」と言う)をよく見かけるようになった。彼・彼女たちは何を信じているのだろう。
それとは別に、マザー・テレサやダライ・ラマは素晴らしい人だし、ほとんどの宗教は悪いものではないはずだ。宗教が説く神や仏、愛や悟り、深い智慧や自由な生き方、人生の究極の意義など、誰もが多かれ少なかれ真剣な関心をもっているはずである。
ところが、日本では、中学でも高校でも、宗教について教える授業がほとんどない(これには日本特有の事情があるのだが、改善すべきである)。この講座では、高校までの教育の欠落を補って、宗教とはそもそも何なのか、人間にとってどんな意義があるのかを考えるための基礎知識と、宗教について考え、宗教に関わるときの基本的心構えを伝えたい。それによって、大学での学びへの橋渡しをしたい。自分で調べて発表してみることで、身につくことは多いはずだ。
各回の概要
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第1回
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・受講生の自己紹介
・入門講義①:「宗教をどうとらえるかーー基礎知識と視点」
・参考文献リスト配布と解説
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第2回
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・入門講義②:「宗教のいろいろーー世界と日本」
・受講生の発表テーマ・使用文献などの相談
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第3回
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・受講生による発表と相互討論(一回目)
・講師によるコメントと補い
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第4回
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・受講生による発表と相互討論(二回目)
・総合討論とコメント
・まとめの講義「大学で学んでほしいこと」