比較文化学講座(人文学プレ・ゼミ/2023年春期講座)
- テーマ
- 「大学で文化の研究をするために―比較文化学入門」
- 講師
- 藤井嘉章(ふじいよしあき)。
:東京外国語大学(「漢文入門」)、立教大学(「和歌講義」「漢文学講義」)、昭和女子大学(「日本古典文学講義」「アカデミック・ライティング」)
メッセージ
はじめまして。プレ・ゼミ講座を担当させていただく藤井嘉章(ふじいよしあき)です。
私は大学生の頃、東京外国語大学で中国語を専攻していました。大学を卒業後、研究者を目指すために大学院へ進学したのを機に、日本古典文学の研究へと移りました。もともと外国語が好きだったこともあり、日本古典を常に外国の視点から眺めるという姿勢を持って研究してきました。
特にアメリカの大学に留学していた時に出席した「比較文化」のゼミで、世界の文学作品や文化現象をお互いに比較し、共通する点や異なる点を見つけ出していく研究に触れ、改めて学問の楽しさを感じました。 みなさんが大学に入るのが楽しみになるようなプレゼミ講座にしたいと思います。
平和主義な性格ですので、安心して参加してください。
- 日時
- 各日10:30~12:40
- 参加費
- 全4回 50,000円
講座概要
こんにちは。この講座に興味を持っていただいてありがとうございます。
これから大学を目指すみなさんに、大学ではどんな学びがあるのだろうか、そのために今できることはなんだろうか、そういった疑問に答えていけるような知的好奇心に満ちた2ヶ月にしたいと思っています。
「比較文化学」と聞いて、分かるような分からないような感覚になるのではないでしょうか。それもそのはずで、この学問は決まった対象(例えば日本古典文学の『源氏物語』のような対象)を持ちません。「文化」を「比較」するという方法が学問の名前になっているのです。そのために扱う対象は、文学でも、社会制度でも、音楽やスポーツでも、なんでも構わないのです。
ただひとつだけ約束があります。それは対象とする文化を、必ずそれとは別の文化と比べることで、多面的に分析するということです。
例えば私は中国に留学している時に受けた作文の授業で、与えられたテーマにとても新鮮な驚きを覚えました。日本の教育であれば作文のテーマになるのは「少年法の是非」や「出生前診断」などについてあなたの意見を書きなさい、のように自分の立場を論理的に主張するものだと思います。中国の授業で課されたテーマは「勤勉」でした。「勤勉」が良いのは当たり前です。その上で、なぜ勤勉である必要があるのか、を例えば中国の偉人とされる孔子や、権威ある歴史書である『史記』などから文章を引用して説得的に書くことが求められたのです。
ここで日中の作文課題という比較文化的な視点が生まれます。どちらが良い悪いという判断をするのではありません。なぜそのような「違い」が生まれるのか? ふたつの「文化」を「比較」することで出てきた疑問を、それぞれの文化背景や歴史、政治状況や現在社会から求められている能力など、さまざまな視点から分析し、答えを導き出していきます。これが「比較文化学」という方法の醍醐味です。
このプレ・ゼミ講座では、このような物事の捉え方・考え方を身につけます。そのために自分でテーマを見つけ、必要な情報を探し整理して、その内容を発表し、最終的にまとまった分量の文章を書くという体験を全力でサポートします。
これから大学を目指すみなさんに、学問の楽しさ、大学で学ぶ楽しさを前もって経験してもらいます。そして希望を持って受験勉強や大学進学に向かって行く原動力にしてください。
各回の概要
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第1回
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・プレゼミの進め方 ・比較文化学とはなにか:入門講義
・参考文献リストの配布と解説
・ゼミでの発表方法について
・受講生の自己紹介
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第2回
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・発表のモデルケースの提示
・情報の集め方と整理の仕方
・受講生のテーマと発表イメージの共有
・次回までの時間の過ごし方
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第3回
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・受講生によるテーマ紹介:比較文化の視点からテーマを選び内容を紹介する
・整理した情報を発表へとつなげるために
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第4回
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・受講生による本発表と質疑応答
・発表内容を文章にまとめていくために